平成27年度税制改正に向けて住宅取得資金贈与の拡充要望へ
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西東京市 ひばりヶ丘の女性税理士 樋渡順です。
今月16日、国土交通省は平成27年度の税制改正において、今年度末で期限切れとなる住宅取得資金贈与制度の延長と、非課税枠を現在の1,000万円から1,500万円を超える水準に引き上げるよう要望する方針を固めました。
消費税増税の影響から駆け込み需要の反動で新設住宅着工数が減少していること、また建設費の高騰の影響などからマンション価格は減少傾向にあって、若年層が住宅を購入するには厳しい環境になっていることから、上記のような制度延長、拡充を行って住宅市場を下支えしたいという狙いがあるようです。
住宅取得資金贈与の制度のポイントは、
①直系専属(親や祖父母)から20歳以上の者に対する贈与が対象
②贈与を受けられるのは、その年分合計所得金額が2,000万円以下の者に限る
③平成26年度は省エネ・耐震性住宅ならば1,000万円まで、それ以外の一般住宅は500万円まで非課税
④贈与を受けた年の翌年の3月15日までに居住(住む)ことが原則(居住しないと贈与税がかかる)
⑤3年以内に贈与した方の相続が発生したとしても、相続財産に足し戻されない=3年以内贈与加算の対象外
親が援助してくれる、さらに贈与税もかからないなら、喜んで♪という感じですよね。マイホーム購入を検討している方にとっては、この非課税制度はありがたいものでしょう。相続の3年以内贈与加算の対象外でもあるので、親等の相続税対策としても即効性があります。
ただ1つ注意していただきたいのが、相続税の計算の際の「小規模宅地等の評価減」との兼ね合いです。
例えば親が都心に住んでいて、その土地についている路線価がかなり高いようなケース。父親に相続が発生した時に、母親が自宅を相続するか、同居している子供が相続すれば「特定居住用宅地等の評価減」が使えるので、今なら240㎡まで80%評価減となり相続税の計算上有利です。
でもすでに母親が他界、子供が自分名義または配偶者名義のマイホームを所有している場合は、父親の自宅を相続してもこの特例が使えず、100%まるまる相続税の計算対象となります。
来年からは240㎡から330㎡まで適用面積が拡充されるので、人によってはさらにこの特例の影響が大きくなります。
ですから子供のために、またはご自身の相続対策のためにと住宅取得資金贈与を行ったけれど、税金上、逆に不利になることもあるので注意が必要となります。
もちろんマイホーム計画は税金の有利不利で決めるものではないですし、住宅取得資金の一部を親が負担してくれたとしても、残額は当然本人が負担することになるわけで、ローンを組むケースなどではちゃんと支払っていけるのか検討することも大切です。
総合的な視点で物事を判断するためにも、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーや、税金のプロである税理士に事前にご相談いただけたらと思います。
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